『ケンとカズ』監督の小路紘史さん独占インタビュー!!



【インタビュー企画第3弾!!最終回!!】


 日本製クライムノワールの大傑作として海外映画祭にも多く招待され、国内でも既に著名人などから絶賛され、来る7月30日に満を持して劇場公開となる『ケンとカズ』!!Vol.1毎熊克哉、Vol.2カトウシンスケさんにつづき、最終回のVol.3は監督の小路紘史さんにインタビューさせていただきました。是非、お楽しみくださいませ!!


『ケンとカズ』監督の小路紘史さんへのインタビュー



1.早速ですが、予告編を拝見しましたが、苛烈さと優雅さに溢れ、緊迫感みなぎる映像。本編がとても楽しみなのですが、監督が本作を手掛けようと考えられた動機、経緯などを教えていただけませんか?


この映画は短編版があるのですが、短編版「ケンとカズ」のキャラクターのバックグラウンドを掘り下げて描く余地がまだあったので、その部分を掘り下げてみたいと考えました。そして、初の長篇では普遍的に語られているテーマを描きたかったのです。2人のキャラクターの葛藤・成長を通して2人はどのような人物だったのかを描き、大袈裟な言い方ですが、人が生きていく上でとても重要な瞬間を描ければと考えてこの映画を作りました。


2.俳優さんたちの迫力満点の演技が印象的ですが、どのように演出されたのですか?


リハーサルでは、脚本で書かれていないシーンの前後を即興でやってもらったり、キャラクターの昔の出来事を作りエチュードで演じてもらいました。

そして、とても抽象的な言い方になってしまうのですが、その人を好きになってその人の個性というか人間性を知る事で適切な演出が出来たのではないかと思います。常にその役者が何を考えているか知りたかったですし、常にその役者がどうしたいか、或いはどうしたくないか知りたかったのです。


3.本作はインディペンデント映画ということで低予算で、また時間の限られた中で撮られたと思うのですが、インディペンデント映画を作っていく予算的、時間的困難はありましたか?(本作に限らず)


やはり、一番の困難は予算的な制約を考えなければいけない事です。
不慣れな事も多くあり、最初の予算組みから大きくオーバーしてしまいました。2人の兄に制作資金を借りようやく映画を完成させる事ができました。
逆にインディペンデントという事で、時間的な制約は今回あまりなかったので
時間を使って撮影が出来たのが大きかったと思います。


4.監督が最も影響を受けた映画人や映画作品は何ですか?やはり本作もその影響を受けていますか?


直接、影響を受けたのは母校の講師をしているアメリカ人監督・ダグ・キャンベルです。学生の頃に言われた「シンプルに考えなさい。自分がカッコ良いと思ったショットを撮ればいい」という言葉は常に頭にあります。撮影時はよく迷ってショットを選べない事があるんですが、迷う事があればダグの言葉を思い出します。


5.最近見て面白いと思った映画を教えてください。


「ボーダーライン」
「レヴェナント」
ドゥニ・ヴィルヌーヴとイニャリトゥは好きな監督でこの監督の最近の2作は傑作だと思います。


6.最後に、これからのインディペンデント映画、日本映画はどうなっていくと思われていますか?また、現状どのような課題があると思われますか?


デジタル化の進歩で誰でも映画が作れる時代になりました。競技人口も増えて質の高い映画も増えてくると思います。しかし、タランティーノなどはデジタルで育った世代にはあまり期待していないと発言しています。それは恐らく安易な映画作りへの警鐘だと思います。容易に映画を作れる反面、容易な映画が増えてくるというのは課題ではあると思います。今までの映画文化が作り上げた一つ一つの要素を継承していく事が大事だと思います。

デジタル技術は進歩しても映像表現や演出などは映画人たちが築き上げてきたものの積み重ねだと思います。私たち若い世代はその積み重ねてきたものを継承して発展させるべきたと考えます。そしてタランティーノの発言を裏切る世代になりたいと思います。


◆プロフィール
監督:小路紘史 (しょうじ ひろし)
1986年7月11日生まれ。広島県出身。
東京フィルムセンター映画・俳優専門学校を卒業。10作品以上の短編映画を制作。4年連続でショートショートフィルムフェスティバル&アジアで入選を果たすなど、日本・海外の映画祭で上映。2011年に制作した短編版の『ケンとカズ』は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2011で奨励賞を受賞し、ロッテルダム国際映画祭2012をはじめ、リスボン国際インディペンデント映画祭2012などで上映されるなど、海外からも注目される。本作が長編デビューとなる。


短編フィルモグラフィー
・『23話目』(2008)
ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2008
リオデジャネイロ国際映画祭2008
・『運び屋』(2009)
ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2009
・『海の見える場所』(2010)
ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2010 アシアナ国際短編映画祭2010
・『BONSAI』(2010)
・『ケンとカズ』(短編版/2011)
ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2011
スキップCITY国際Dシネマ映画祭2011 奨励賞受賞
ロッテルダム映画祭2012
リスボン国際インディペンデント映画祭2102
NIPPON CONNECTION2012
・『入れ歯』(2012)

Twitterアカウント
小路紘史 @shoujihiroshi711

『ケンとカズ』公式HP
www.ken-kazu.com/

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=6myTSKfZYxg

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