『ケンとカズ』、カトウシンスケ(ケン役)さん独占インタビュー!!

【インタビュー企画第3弾!!Vol.2】


日本製クライムノワールの大傑作として海外映画祭にも多く招待され、来る7月30日に満を持して劇場公開となる『ケンとカズ』!!Vol.1の毎熊克哉さんにつづき、今回Vol.2はケン役を演じられたカトウシンスケさんにインタビューさせていただきました。是非、お楽しみくださいませ!!


『ケンとカズ』カトウシンスケ(ケン役)さんへのインタビュー



※インタビュー内容はVol.1~3まで同じ内容に設定しております。

―早速ですが、予告編拝見致しました。疾風怒濤のような激しい演技に心揺さぶられました。本編を拝見するのが本当に楽しみです!!まずは、カトウさんが本作の主演に決定した経緯を教えてください。


オーディションです。短編を拝見していたので、オーディションの相手役をつとめてくれたのが毎熊くんで緊張したのを覚えてます。相当数の応募があったそうでオーディション呼んでもらえたのも嬉しかったですが、決まった後に「短編は画の力で押し切れた。長編はそうはいかないし、もっと人間と人間関係を描きたいし、演技というものを"使って"いきたい」というようなことを、監督がおっしゃっていて、そういう想いを持っている現場に呼ばれた事は幸せだなと、思った事を覚えています。


ー本作での役作りや演技アプローチの仕方はどのようなものでしたか?


今回はリハの期間が2週間くらいあり、色んなアプローチができました。リハで、映画の中では語られていないケンとカズの出会った頃や、普段の会話など、色んなシーンを即興でだらだら演り、体験しました。その中から、これは使えるなと感じるものが自ずと反映されたかと思います。サキや藤堂さん、テルや田上、木下さんとか皆んなとそういう事をやりました。

同時に、今回は脚本を100回くらい読みましたwこんなに繰り返し読んで意味があるのかというくらい読む事で新たな発見も多かったです。「こうやろう」とかという事ではなく「こんな事考えてるんだ、こんな想いがこの人にあるんだ」というような発見です。2つが相まって、ケンを理解していけたし、心身に染み渡っていった気がします。実際撮影の時には思ってもない反応が自分の中に起きたシーンが多かったです。撮影を進めながらもどんどんケンという人間を理解し、また同時に、わからなくなっていきました。

役の人物に対して何も決めつけないで、不完全であるという事は常々意識します。他人を理解しきれる事なんてないし、他人になりきれると自分は信じきれないので。ただ地獄みたいに苦しい海の底でもケンと手を繋いでいられるくらいな関係になれました。


ー質問が重なる部分もあるのですが、麻薬取引を扱った映画ということで、もちろん未知の世界だったと思うのですが、その世界のリアルを体現していく難しさのようなものはありましたか?


そうですね。自分はあまり器用ではないので、麻薬の取引だろうが、お弁当屋さんだろうが、コンビニの店員だろうが、演るのはいつも難しいなあと感じますw

これも脚本を読んだり監督と話して進められた事ですが、ケンもただただ田舎の悪いあんちゃんというわけではなく、色んなたまたまが重なってこうなっていったのだと思います。そういう選択を彼はしていったのだと思います。麻薬の扱いや、どのくらい手慣れているか、手慣れていないか、という事は監督が意見を持ってくれていたし、未知の領域も細かいリサーチを彼はしていたので、沢山聞けました。もちろん僕も色々人に聞いたり調べたけども。

でも、職業性というよりは、その「麻薬の売人」というイメージに捕まらないようにしていった感覚はあります。どんな人間か人間達か、そちらの方が興味強かったですね。だから、なんか麻薬の売人なのにこいつ(ケン)あまり悪そうに見えないしやってけんのかな?とか不安もありましたが、観てくれた人からは十分悪そうにも見えてるみたいなのでホッとしましたw簡単な事や答えがある事なんて何もないです。


ー現場でこれはきつかった、大変だった。楽しかった。というエピソードがあれば教えてください。


ずーーーっと大変でしたwwそこそこ生きてる人は誰しもそうかもしれないですが、ケンは映画の中であまり楽チンなシーンないんですよね。ヘラヘラしてても、これを抱えててあれを抱えててと。撮影期間も長かったので、スタッフやキャストの皆んなと和気あいあい仲良くやれたので助けられました。しんどいシーンの時は、スタッフも人数少ないのにとても気を使ってくれて、良い環境を作ってくれました。合間合間はふざけてばっかでしたけどねwwメイキングふざけて撮ってたのが楽しかったですw
緩急あって良い時を過ごせました。
まあ、あとは何はともあれ、天候の奇跡みたいのは沢山起こり、恵まれました。


ーインディペンデント映画界、日本映画界の現状についてどう思われていますか?今後の課題などあれば教えてください。


そうですねえ。日本映画界の現状の事や、こうなっていかないと、という事に関しては先日、カンヌで深田監督も発言していましたし、僕よりもっと真剣に考え、行動している方々がいるし、それ以上の事は今の僕には知恵も言葉も持ち合わせがないなと感じてます。

俳優なのでそういう目線では、もっと色んな役、色んな物語をやりたいなと、そう強く思います。似たような設定、似たような葛藤、似たような芝居、多いとは思います。もちろん自分がそうしてしまっているだけで、違う可能性も秘めている事もあるでしょうが。多様性がもっともっとあって、もっともっとクオリティの高いものが増えていったら良いなと思います。

まだ、独身なので、自分が親になる前に親父の役を大きな役で演りたいですし、親になってからも親父の役が演りたい。作家や監督もどんなひとたちもそうでしょうけど、今の時期しか出来ないものが沢山あって、そのほとんどが叶わないので、沢山の驚きと喜びと苦しみに立ち会いたいです。もっともっと演技や表現を更新していかないとならんなと思います。すみません。小さな話で。。


ーカトウさんが最も影響を受けた映画人、映画作品を教えてください。


難しいですねえ。。最もかあ。。。沢山影響受けてるし、僕、大学生くらいまで人格の半分以上は映画から影響を受けて、こういう事はいけない、とか、こういう大人になろうとか、考えてた気がします。

一番影響を受け続けているのは、、うーむ、「映画館」ですかね。ダメですか?笑
本当に苦しくて仕方なくなったり、やる気が起こらない時とか、ひたすら映画館にいる事があります。暗闇の中で、他人と肩を並べて映画を観て、過ごします。人が感動したり、飽きたり、笑ったり、眠ったりしているのを感じたり、もちろん作品自体に没入したり、価値観の刺激を与えてもらったり、映画館は本当に沢山の刺激に溢れてます。

うるさい人がいて、うーん、やだなあと思うときもあるけど、そうだよなあ、自分の思い通りになんかならないよなあと映画館なら思えて、社会に復帰していけますww家だとやはりなんか自分ばかりになっちゃう。


ー最近見て面白かった映画を教えてください。


忙しくてなかなか劇場に足を運べていないのですが、神代辰巳監督「もどり川」、長谷川和彦監督「青春の殺人者」を見直して、というか、割と事あるごとに観る事の多い作品なのですが、やっぱり面白かったというか、泥臭い人間が必死に生きていて見飽きないです。今の時代で僕がやるとしたら、どうするか、考えるとドキドキする作品です。

あ!劇場行きました!沖田監督の「モヒカン故郷に帰る」を観ました!父と息子の話に弱いのでギャンギャン泣かされました。あと真利子監督の「ディストラクション・ベイビーズ」観に行きました。なかなか再会できないのですが、昔からの知り合いなので、彼の作品は楽しみにしてます。柳楽さんが世代交代宣言していたので、ちょい待ってくれ!まだカトウっていう売れ残りがいるんだから!!って思いましたww世代をいくら交代されても生きてる限り、映り続けていたいですね。


ー最後に本作をご覧になる皆様に一言お願いします。


思いつきで書いちゃって、うまく伝えたい事がまとまらず、、、でしたが、「ケンとカズ」に興味持って頂きありがとうございます。僕を含め、ほとんどのキャストやスタッフが無名というか、まだこれからの人達です。是非「ケンとカズ」を観て、気に入ったら、応援して下さい。風穴をあけるのではなく、日本映画の可能性を押し広げていけたらいいなと思います。小さく粗く、演技もまだまだ至らぬ事もあると思いますが、こういう記事を機会に、演技の事や、映画の事や、また違う視点で観て、あーだこーだ、ご意見聞かせてもらえたら嬉しいです。

7/30公開です!面白い映画たくさんやってる時期だと思いますが、このメンツの映画はきっとレアですし、ほとんど知ってる人の出ていない映画を観るのも良いと思います。フリマで掘り出し物見つけた感覚でワクワクして下さいw

皆様のご来場、心よりお待ちしております。愛を込めて。



◆プロフィール
カトウシンスケ・ケン役
1981年8月18日生まれ。東京都出身。
演出家・倉本朋幸を中心に結成された劇団オーストラ・マコンドーのメンバー。「家族」、「トーキョービッチ,アイラブユー」などほぼ全ての公演に出演。出演した劇団チョコレートケーキ「サラエヴォの黒い手」では、紀伊国屋演劇大賞団体賞を受賞。 印象的なルックス、飄々とした自然体の中に優しさと狂気が共存する演技には定評があり、舞台にとどまらず、若手監督の映像作品にも数多く出演。公開待機作で、昨年の東京フィルメックスにおいてスペシャル・メンションを授与された『クズとブスとゲス』での怪演にも注目。


Twitterアカウント
カトウシンスケ @shinbotch

『ケンとカズ』公式HP
www.ken-kazu.com/

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=6myTSKfZYxg



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